至福のひととき、鈴なり

丸の内線四谷三丁目駅を出て、そのまま新宿通りをJR四谷方面に少し歩き、左側の路地に入っていくと こじんまりとした店が並ぶ ちょっとした飲食街がある。今日は友人 I さんが、どうしても小生を連れて行きたい店があるという事で先月中旬に予約を入れておいてくれた本人自慢の お店である。
ちょっと目立たないその店に入ると、20人入るかどうかの けして広くない店内は既にほぼ埋まっており、カウンター奥の予約席に案内してもらった。
早速、生ビールでグラスをぶつけ乾杯、口はペチャクチャお話しとビールで忙しく、目は店内とカウンター越しの調理の方の動きをボンヤリみながら暫くすると、青菜のお通しと生牡蠣が出てきた。本日は おまかせ料理という事で迷う必要はない。その鮮度の良い牡蠣を一気に呑み込み、この後どんな料理にありつけるのかと、楽しみにしながら話しにも花が咲く。次に出てきたのが二枚目の写真。ホォ〜と声がでる程、すばらしい盛り付けで、カラスミ、鯛の白子などの珍味をマスターの説明付きで出してもらった。盛りつけが綺麗な料理は たまに見かける、しかし、この店のはそれだけではなく、食べて美味しい。次に出てきたのが三枚目の写真で、なんでここで 茶碗蒸し?とかすかに思いながら たいして気にもせず無造作に一口…“んまっ!”思わずフリーズしてしまい、隣の友人を横目でチラッと見る。そこにはニコニコと得意満面な笑顔が…。今まで味わった事がない、なんともいえない絶妙な味、まさしく“絶品”。ウニをベ‐スになんとかかんとか…。どなたか説明してくれたが、全く聞いてない、ただひたすら自分の幸せの為に残りを口に運ぶ

その後も アワビと牛肉の焼き物、櫻エビのまぜご飯とみそ汁、杏仁豆腐など いたせりつくせり。
全ての料理は繊細に手を加えられ、慎重に味付けされる。マスターの精悍な表情は真剣そのもの。
帰りには 食べ切れなかった櫻エビの混ぜご飯をおにぎりにしてくれ、それまでの真剣な表情とはうって変わって とても暖かい笑顔で送り出してくれた。
マスターの人柄といい、料理といい、まさに至福のひととき…。